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貸借対照表(BalanceSheet)が示すべき情報

2010年07月20日

グレーライン

貸借対照表(BS)は企業の財政状態を、損益計算書(PL)は企業の経営成績を表示するものと、会計学を勉強し始めに誰もが習ったと思います。
ここでは、企業の財政状態を示すBSの役割を考察してみたいと思います。

伝統的な日本の会計基準では、取得原価主義が採用され、貨幣性資産以外の科目は取得原価で評価されます。 BSは期間損益計算を行うための残高表であるといった性質を強く持ち、財政状態の情報は時価注記などの補足情報によって補う必要がありました。 BSの資産能力については諸説があり、将来収益獲得能力を示している、や、未来原価の回避能力を示している、などです。 ただし、結局のところ取得原価で評価するのであれば、BSは「期間損益計算を行うための残高表」であり、PLを中心とした理論体系になってしまいます。
高度な経済成長を遂げた日本にとってみれば、例えば銀行が事業資金の貸出を行う際に最も注目すべき点は事業の将来の収益力であり、時点的な資金返済能力は二の次であった時代背景と会計基準が整合しています。

時代(とき)は流れ、企業活動や資本市場がグローバル化すると、企業間比較を担保する等のためにグローバルな会計基準が必要になります。 ご存知のとおりIFRSです。 IFRSはしばしばBS至上主義と言われています。 BSを公正価値で評価する思想があるのです。
公正価値の基本的な考え方は将来キャッシュフローの割引現在価値(DCF法)です。 日本ではこのような考え方に馴染みが薄く、多くの会計人が敬遠しているようですが、実はIFRSのこの考え方は、会計学を勉強し初めに誰もが習ったことを実践しているだけだと思います。 すなわち、BSは企業の財政状態を示すものなのです。

現代の高度に発達した信用取引や金融商品の下、企業の財政状態をどのように示すのがグローバルに認められるのでしょうか。 例えば、取得原価主義を考えた場合、期間損益計算を行うための残高表では、財政状態を示しているものとは認められないでしょう。 資金の貸出を行う立場から考えると、BSに示して欲しいものは、将来キャッシの状態(特に将来の債務弁済能力)だと言えるのではないでしょうか。

将来キャッシュフローは不確実です。 そのためキャッシュフローは、約定ではなく期待値を使用します。 さらには、貨幣の時間価値も考慮して・・・となると、やはり将来キャッシュフローの割引現在価値こそが企業の財政状態を示すのに最もふさわしいとも思えます。

世界には先進国もあれば新興国もあります。 財政の豊かな国とそうでない国、経済が成熟した国と成長している国。 それぞれの経済状況の中、それぞれの会計基準を採用したのでは企業活動のグローバル化に大きな支障をきたします。 難しいことですが、誰もが許容できる基準が今の世の中には必要なのです。

IFRSの概念フレームワークの改定が行われ、徐々にアメリカ寄りになってきているようにも思いますが、IASBには頑張ってもらいたいものです。



Written by A.Y

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